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2004年10月16日 (土)

「心の日記」

 余市住宅地図と同じ日に買った、「後藤静香全集10 実践運動篇・静香年譜」が届きました。古本で1500円程度。

 後藤静香(せいこう)は東京時代に北斗が思想上の影響を受けた人物。修養団体希望社の主宰者で、盲人、らい病患者、アイヌや台湾の高砂族などの少数民族の援助、ローマ字運動、エスペラント運動などいろんな運動(希望社運動と呼ばれた)をした人で、その主著『権威』は100万部を売ったといいます。

 修養団体っていいますが、まあ神様のいない宗教みたいなものでしょうか。実際、後藤は神様のように「信者」に慕われるカリスマでした。

 後藤静香はクリスチャンですが、希望社の教条はキリスト教だけではなく、個人個人が修養して、国家に役立つ立派な人間になろう、という生き方の指南するような感じでしょうか。仏教や儒教やら、リンカーンやらナポレオンなんかの歴史上の偉人のいい話などもごたまぜに盛り込んでいて、なにより絶対的な前提として、「お国のために」というのがベースにあります。

 で、後藤静香全集です。
 これでまたいくつかの謎が解けました。

「心の日記」について

 北斗の昭和2年12月26日の日記に出てくる、

 「希望社から金十円也と「心の日記」に「カレンダー」を送って貰うた。全く有り難いかな。

 ここにある「心の日記」は希望社から大正15年より昭和15年まで発行の日記帳。これまでの日記と違い、毎日上欄に修養の短文を載せていたそうです。後藤静香の言葉でしょう。

 また、岩崎吉勝の「跋」によると、いわゆる北斗の「日記」もこの日記帳に書かれていたということで、昭和2年、3年、4年の分を、遺稿整理の際に参照しています。
 

 北斗の同人誌『コタン』にも「心の日記」というコーナーがあり、ここに「遺骸」「自己の道」という二編の詩が載っていて、長らく北斗の作として扱われているようですが、実はこれ、後藤静香の作品なんですね。

 少なくとも「遺骸」は、後藤静香の著書「閃光」に載っている静香の詩です。まだ確認できていませんが、おそらく「心の道」もそうだと思います。

 北斗は「心の日記」より、という感じで引用し、同人誌『コタン』の読者も、それでわかったのではないでしょうか。

 「力の泉カレンダー」は「1ヶ月31日分の標語と絵画を組み合わせた美しい新機軸のもの」で、昭和2年より発行。北斗がもらったのは一年目、ということになります。
 
 この「力の泉」は、希望社のバイブルとも言うべき『権威』の簡易版で、音読に用いられたようです。(湯本喜作『アイヌの歌人』にある「雑誌」は間違い)。

 あと、希望社関係では日記昭和3年12月28日

福岡県嘉穂郡二瀬伊岐順村三六四 八尋直一様より慰問袋「心の日記」とチョコレート。

 とありますが、この「慰問袋」は、希望社が大正11年にはじめた「慰問袋贈呈運動」と関係があるようです。この運動は、病人に慰問袋を作って贈る運動で、後藤静香が提唱・実行したものです。

 などなど。まだまだ新事実が出て来そうな予感です。

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