「違星北斗書画集」追補
「違星北斗書画集」ページの更新が難しくなってきたので、こちらに追補ページを作り たいと思います。
●北斗の短冊
「暦無くとも鮭来るときを秋とした
コタンの昔 思い出される
違星北斗」
所蔵者の方からお知らせいただきました。(経緯はこちら)
http://iboshihokuto.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-aaf8.html
●北斗自筆「コタン吟」の写真
違星北斗の自筆の短歌、五首。
「コタン吟
違星北斗
アイヌッと只ひとことが何よりの
侮蔑となって憤怒に燃る
何ッ!! 糞でも喰らへと剛放に
どなったあとの淋しい静
正直なアイヌだましたシャモをこそ
憫れなものと ゆるし此頃
古平村にて
ウタリーの絶えて久しくふるびらの
コタンのあとに 心ろひかるゝ
はしたなきアイヌなれども
たぐひなき
國に生れて さへはいを知る」
誰に向けて書いたのかはわかりませんが、この短歌5首はいわば、
北斗の心の変化(あるいは複合的に共存)を書いたものかと思われます。
1)和人への怒り
2)怒りに囚われることへの淋しさ
3)卑劣な和人への憐憫と赦し
4)失われてゆくアイヌの文化への悲しみと憧憬の想い
5)日本社会の中でアイヌ民族が活躍する場を作り出すため、
和人と伍して生きるための覚悟と受容
ただし、北斗にとって5)が到達点ではありませんでしたが。
●違星北斗ノートより
違星北斗の大正14年のノートが、北海道立文学館に所蔵されています。
東京時代の日記・雑記帳(メモ・創作ノート、住所録・講義録・家計簿)を兼ねたノートです。
エカシと海。
海で踊る人々。海岸には馬もいます。
小曲「冷(つめた)き北斗」の創作メモに、
輝く星と、冬山をゆく「鹿」の姿が描かれています。
1 アイヌモシリの とををい遠い
むかし こひしの 恋ひじややら
2 光るは涙か? それとも声か?
澄むほど淋し 大熊 小熊
3 みんなゆめさと わすれてゐても
雲るも涙 照るさい(え) かなし。
4 北のはてなる チヌカラ カムイ
冷めたいみそらに まばたいてゐる
小曲「冷たき北斗」についてはこちら。
左ページに土器の絵。
右ページは「うってかえし、シンメトリカル(左右配列)、追廻し(巴の紋)、互違い、波状線のうって返し、だいたい骨、括弧体」
とあり、意匠から、アイヌ文様のメモのように思えます。
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