『違星北斗歌集』刊行のお知らせ
長らく違星北斗の遺稿集『コタン』が絶版でしたが、それに代わる遺稿集が発行されることになりました。
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『違星北斗歌集 アイヌと云ふ新しくよい概念を』著者 違星 北斗
(角川ソフィア文庫)
発売日:2021年06月15日 商品形態:文庫
「アイヌの啄木」と呼ばれた歌人の心の叫び。
「アイヌと云ふ新しくよい概念を内地の人に与へたく思ふ」
「滅亡に瀕するアイヌ民族にせめては生きよ俺の此の歌」
「滅び行くアイヌの為に起つアイヌ違星北斗の瞳輝く」
先住民族アイヌが公然と「亡びゆく民族」の烙印を押され、本来は「誇り高き人間」「立派な人」という意味を持つ「アイヌ」という言葉が侮蔑の響きをもって使われていた大正時代から昭和のはじめ。アイヌ民族復興のために立ち上がりその生涯を捧げ、病のため27歳で早世した歌人がいた。文庫ではじめて違星北斗の短歌、俳句、詩、童話、散文、ノートの記録を集める決定版。
【目次】
違星青年 金田一京助
短歌
医文学/小樽新聞/新短歌時代/北海道人/志づく/私の短歌/はまなすの花/ウタリ之友
日記
大正十五年七月十一日から絶筆
俳句
句誌にひはり/医文学/俳句/北海道 樺太新季題句集/月刊郷土誌よいち
詩
冷たき北斗/大空
童話・昔話
熊の話/半分白く半分黒いおばけ/世界の創造とねずみ/死んでからの魂の生活/烏と翁/熊と熊取の話
散文・ノート
ウタリ・クスの先覚者中里徳太郎氏を偲びて/ぶちのめされた民族が/アイヌの一青年から/春の若草/我が家名/淋しい元気/淋しい元気/コクワ取り/アイヌの誇り/疑うべきフゴッペの遺跡 奇怪な謎
手紙
自働道話/子供の道話
コタン創刊号
目次/巻頭言 白路 凸天生/アイヌ神謡集序文コタン 知里幸恵/偽らぬ心 凸天/生活 自覚への一路 浦川太郎吉/「アイヌの姿」 北斗星/心の日記(後藤静香)/断想録(其ノ五) 十一州浪人/コタン吟(其ノ二) 十一州浪人/はまなし凉し/編輯余録/奥付
解題・語注
違星北斗年譜
解説 違星北斗その思想の変化 山科清春
https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000263/
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タイトルは「歌集」ですが、遺稿集『コタン』の内容を網羅し、さらに新発見の道話・手紙・ノートなどの文章を収録。
350ページですが、うち90ページは「解題」「年表」「解説」を私が描き下ろしています。
違星北斗の生涯と思想の変化を解説しているので、コタンよりも分かりやすくなったと思います。
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コメント
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北斗の顕彰に尽くし、自分たちは目立たないままでいるのが余市のひとたちの偉さなのでしょうが、
傷心の違星正利氏を伴って平取を訪ね、アイヌであることの誇りを再認識していただき、
地元で北斗の顕彰を行った、青木さんを始めとする余市郷土研究会の皆さんの熱い働きかけの歴史が紹介されるようになれば、山科さんと余市のひととのつながりがより強くなるでしょうし、そうあるべきだと思います。
投稿: 木曽山人 | 2021年12月20日 (月) 00時27分
まさに、その通りだと思います。
北斗の句碑の建立には青木さんのご遺族への働きかけがあったこと、今回の本では、あまり詳しく触れることができなかったのですが、別の北斗の本を作る際にはぜひ広く伝えていきたいです。
余市の郷土研究者の青木さんや近藤さん、佐藤さんといった方々、そして水産博物館の方々の研究者の方の研究のおかげです。
そのみなさんと、北斗生誕120年のイチャルパ・カムイノミをやりたかったのですが、さまざまなことがあり、実現できずにいます。
投稿: 管理人 | 2021年12月20日 (月) 01時30分
天内山を自らブルトーザーで崩さなければならなかった違星正利氏の無念と、そこから伝えていきたかった
アイヌへ託す想いを描いてください。期待しています。
投稿: 木曾山人 | 2021年12月20日 (月) 14時18分
やはり無念だったのですね。
チャシの地、余市アイヌの象徴的な土地であった天内山を崩さねばならなかった…
教育長の沢口さんの文章では、そのあたりはくみ取れなかったのですが、さぞかし、無念だったでしょうね。
投稿: 管理人 | 2021年12月20日 (月) 17時25分