大川周明と違星北斗
大正14年11月3日「大邦日本の理想 文学士 大川周明氏」の講演を聞いた北斗は、
大川周明の意見に、いろいろと思うところがあったようで、
「日本の理想は?
食ふことから出発せなくてはならないなんて、哀れな理想ではないか。
対外政策が日本の理想か。
なぜもっと良い理想がないのか。
国家以上の大理想がないか。
食ふことの問題?
生きることの問題?
人の人たる問題を援(?)いて食ふため国の立つための問題が理想であったら全く小さな問題である」
これは、大川が「食べるため国家を立てるための理想を語ったのに対して、「人の人たる問題をないがしろにして、何が理想だ、国家以上の大理想はないのか」みたいに読んだんですが、「人の人たる問題を援いて」だとすると、「たすける」「援用する」みたいな意味になってきて、ちょっとわからない。前半で小さな理想だとディスっているので、否定的なんだというのはわかるんですが。
「朝鮮台湾を含んでこれを大邦日本……
植民政策は同化主義は失敗と攻撃せられた(フランス)…
日本はそれを如何(台湾を植民地とみるは不可
西洋の例にのりとる可からず……ヲウストリアが治めた政治……日本は同化政策ととる可し
民族を同じうする……ローマの同化政策は成功
した。 フランスは独逸の或る一角地を同化させて
しまった 百年後には祖先よりフランス人たるを誇りとした
大邦日本の理想 日本海を中心にして満蒙に発展すること」
といった、大川の日本中心・征服者としての心得を北斗はどう聞いたのか。
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