
以前、小樽文学館の方から送っていただいた資料に、「新短歌時代」昭和4年3月号がありました。
この、「新短歌時代」には、村上如月という人の違星北斗の追悼文 が掲載されていたのですが、その裏表紙に気になる記述がありました。
裏表紙の広告は「北海道及樺太」昭和4年3月号ですが、その内容として、「鰊漁業合同論」という記事の題名があり、著者名は「北斗星」。
で、これは違星北斗ではないか、ずっと確かめられずにいました。
「北斗星」の筆名は違星北斗自身、「アイヌの姿」という論文の時にそう名乗っていましたし、「北海道及樺太」は以前は「北海道人」という誌名で、この「北海道人」には北斗は何度も掲載されたことがあります。
また、この「北海道及樺太」という雑誌の執筆者の中には、並木凡平のように、北斗が深く関わった「新短歌時代」や「小樽新聞」の関係者が多い。
さらに、テーマが「鰊漁」。北斗の家の稼業です。
これは、もしかしたら、もしかするかもしれない。
論文としては「フゴッペ」以来のものが見つかるかもしれない。
この「北海道及樺太」、図書館や古書店のサイトもざっと調べたのですが、北海道大学の図書館ぐらいにしかない。調べたいが、いま経済的に、とても北海道には行けそうもない。
先日、そのことをツイッター(@kiyamashina)で、つぶやいたところ、
なんと、それを見た「ひとみデラックス」さん(「しょたこたママ」さん)が、北大アイヌ先住民研究センターの先生とともに、調べてくださいました。
ありがたいやら、申し訳ないやらです。
結論から先にいいますと、
この「鰊漁業合同論」の著者「北斗星」は違星北斗の手によるものではありませんでした。
雑誌の中に、「実業家の一時的ペンネーム」という記述がありました。
違星北斗は決して運動家であっても、実業家ではないので、残念ながら違いますね。
それから、文体も全然違います。
「違星北斗ではない、赤の他人である」のは間違いないと思います。
残念だとは思いますが、一つ前にすすむことができました。
しょたこたママ様、Y先生、ありがとうございました。
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